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物理科学から社会物理学へ
ECON001Lesson 10
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18世紀後半、画期的な転換が起こった。星を記録するために使われていた厳密な数学的手法、すなわち 三角法対数、そして 確率論が、人間社会に向けられるようになったのである。この潮流は physique social (社会物理学)と呼ばれ、個人の混沌とした行動も集団としては予測可能なパターンに定量化できると提唱した。

物理科学天体航法d²x/dt² = F/m社会物理学確率分布P(x) ∝ e^( -x² / 2σ² )数学の転用

ラプラスの方法論

ピエール=シモン・ラプラスは 社会測定 を革新した。国家を理解するために全人口を数える必要はないと証明したのである。 ラプラスの方法は、多様な30の県から無作為標本を抽出し、それを基に総人口を推定するというものだった。

ランダム誤差 vs. 系統誤差

この新たな科学の中心的信条は、観測誤差の論理であった。先駆者たちは次のことに気づいた。 差異がランダムであれば、標本を採取するたびにデータはほぼ同じように見える。差異が系統的であれば、標本ごとに異なった姿を呈する。 ランダム性はモデルの安定性を示唆する一方、系統的な差異は集団が根本的に異なることを示しており、新たな原因分析(地域的な飢饉や富の偏在など)が必要となる。

金融への遺産
ゴルトンら革新者たちがその過程で得た知見は、最終的に今日のビジネスと金融におけるリスクの制御・測定のための複雑な金融商品の誕生へとつながった。